USMLEって何?
USMLEは、The United States Medical Licensing Examinationの頭文字をとったもの。アメリカの医師国家試験のことです。
日本人を含めた外国人(IMGs: International Medical Graduates)がアメリカで医師になるには、原則、このUSMLEに合格する必要があります。
USMLEについて、私自身気になっていたのですが、正直システムが分からなかったので調べてみました。私が理解した範囲で、「どんな試験なのか」、みなさんと共有したいと思います。
日本の国家試験と違う点が沢山ありました。言語(日本語/英語)の違いはもちろんのこと、試験形式、重点的に問われる分野、出願形式、かかる費用、受けるタイミングなどなど...
USMLEに興味のある方の参考になれば嬉しいです。
詳しいことは触れないため、今回は「超入門編」ということにしておきます。
4つのステップがある
USMLEは、以下の4つのステップに分かれています。()で囲んだところが、日本の医学部の試験に相当するものです。
- Step1 : 基礎医学(CBT)
- Step2(CK=Clinical Knowledge) : 臨床医学(国家試験)
- Step2(CS=Clinical Skills) : 臨床の実技試験(OSCE)
- Step3 実際の症例の画像を読んだりして、医師としての判断力を問う試験
受験資格
- Step1: 医学生(基礎医学を修了している学年以上)、医師
- Step2(CK/CS): 医学生(6年生以上)、医師
- Step3: Step1とStep2に合格し、ECFMG certificationを取得していること
※ ECFMG certificationとは...
アメリカで医師として働くためには、residency program(研修医プログラム)を修了していることが必要なのですが、このresidency programに参加するために必要な資格が、ECFMG certificationです。
受験資格を満たしていれば、(Step3以外は)どの順番で受けても大丈夫です。
試験会場
Step1とStep2(CK)のみ、日本国内で受けることができます。
現在は、東京会場(御茶ノ水ソラシティ)と大阪会場(中津)があるようです。
Step2CS(実技試験)、Step3を受験するには、アメリカに行かなければいけません。
受験料
年によって、若干違いがあるようですが、このくらいです。
- Step1: $1220(うち日本サーチャージ$355)
- Step2CK: $1265(うち日本サーチャージ$400)
- ECFMG certificatetion 申し込み料 : $65
- Step2CK : $1505
- Step3 : 約$800
日本で受ける分、サーチャージが発生するため受験料が高くなっているのですが、それにしても高いですね...
アメリカに行って受ける試験は、さらに旅費+宿泊代もかかります。
試験形式
Step1とStep2CKの共通点(First Aid 2020参照)
- 1日で行う
- 選択問題で、コンピュータに答えを入力するCBT形式
- 1ブロックあたり60分の回答時間
- トータル45分の休憩時間
Step1は40問×7ブロック=全280問で、トータル8時間。Step2は8ブロックからなる全318問で、試験時間はトータル9時間です。
Step2 CS(実技試験)は1日で行われ、8時間に及ぶ試験。「模擬患者を相手に、診察をして情報を聞き取りPatient Noteにまとめていく」といった内容だそうです。
Step3のみ、2日間で行われます。CBT形式の臨床問題(選択式)を解く試験。Step2CSよりも、成熟した判断力が問われます。2日目にはコンピュータ上でのシュミレーション患者を相手に診察・診断をする試験もあるそうです。
最新の情報
最近残念?なニュースがありました。(参考記事)
2022年1月以降、step1の試験結果が点数評価から、合格/不合格の形式に変わると発表されたのです。年々step1の平均点が高得点化し、受験生の勉強の負担が問題になっていることなどが背景だそうです。就職の際、外国人であることは不利となるため、このstep1で高得点を出すことが、アメリカ人とのギャップを埋めるのに役立つと言われていました。しかしこの変更により、日本人がアメリカで働きにくくなってしまうのでは、と懸念されています。
まとめ
以上、USMLEの基本的な情報でした。
英語で検索してみると、より正確な情報が得られます。
YoutubeでUSMLEと検索すると、アメリカで働いてらっしゃる日本人の先生や、海外の医学生の体験談や勉強法を紹介してくれている動画が出てきますので、そちらもおすすめです!