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【書籍まとめ】「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」津川友介著

今回のブログでは、「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」をまとめたいと思います。

本書の著者である津川先生は、UCLAで助教授/医師として活動しており、信頼度の高いエビデンスに裏付けられた内容となっています。タイトルの通り、書かれていることはとてもシンプルで、実践しやすいです。

「とにかく1ヶ月で○kg痩せる」などの短期的なメリットではなく、長期的に考えてメリットが大きい食事とは何か、を教えてくれます。"健康"は幸せに直結しますから、健康になるための食事は、ぜひ知っておきたいですね。

「健康的、、、じゃあダイエットには使えないのか」というと、完全にそうではありません。確かに、「体重制限したい人に向けた食事法」ではありませんが、この食事法は健康的に痩せるために必要なエッセンスも含んでいます。このまとめでも、少し触れたいと思います。

それでは、「食べるべきもの、食べないほうが良いものは何か?」という結論からいきましょう。

食べるべきもの5つ

  • 野菜と果物
  • 茶色い炭水化物(玄米、全粒粉)
  • オリーブオイル
  • ナッツ

食べないほうが良いもの3つ

  • 赤い肉(牛肉や豚肉などの肉。鶏肉は含まない。特に加工肉は体に悪い。)
  • 白い炭水化物(白米、うどん、パスタ)
  • バターなどの飽和脂肪酸

白い、茶色い炭水化物とは?

「炭水化物=糖質+食物繊維」です。一般に、茶色い炭水化物は食物線維の量が多く、白い炭水化物は食物繊維が少ないというイメージです。つまり、白いほど糖質の割合が多い!

ちなみに砂糖はほとんど糖質ですが、白い炭水化物も同様にほぼ糖質なので、「白い炭水化物を食べる」のは「砂糖を食べる」のと本質的には変わらない、とまで筆者は述べています。確かに、白米も分解されたら「糖」になって吸収されますからね... 

この食事というのは、あくまでも病気ではない人を前提としているものです。腎臓病の方、妊婦、子供などの場合には、それぞれに適した食事がありますので、注意してください。

それでは、なるべく要点を絞って詳しく見ていきましょう。

食べるべきもの5つ

野菜と果物

キーワードは、「形のある野菜、果物」です。

ジュースやピューレなどの加工したものではダメです。野菜は生野菜でなくてもOK、ゆで野菜、冷凍でもOKです。フルーツジュースは手軽に飲むことができるのですが、残念ながらジュースに加工する過程で、健康上のメリット(食物繊維など)が失われてしまうため、そのままの形で食べるのが良いでしょう。

フルーツの中でも、特にブルーベリーやぶどうを食べる人では、糖尿病のリスクが低いそうです。

茶色い炭水化物

「茶色い炭水化物」とは、玄米、蕎麦、全粒粉のパンなど、精製されていない炭水化物のこと。茶色い炭水化物は死亡率を下げ、糖尿病、動脈硬化などの数々の病気を予防してくれます。ある研究では、茶色い炭水化物の摂取量が1日あたり40g増えるごとに、8年間での体重増加が1.8kg減るという結果が出ています。

<茶色い炭水化物の選び方>

「蕎麦」、「全粒粉入り」などの商品名やキャッチコピーに惑わされず、原材料名も確認することが大切です。例えば全粒粉が入っていると書いてありながら、実際には少ししか含まれていないものもあります。蕎麦でも全粒粉でも玄米でも、含まれる割合に気をつけて選ぶことが重要です。

編集者の一言


私が最近ハマっている「茶色い炭水化物」が、キヌアです。キヌアは穀物の仲間で、お米のように主食として食べます。白米と比べ、食物繊維とタンパク質、鉄分などが豊富です。食べたい分を10分ほど茹でて、ご飯の代わりにカレーと食べる、ミネストローネにいれる、などがおすすめ。

オリーブオイル

普段の料理に、バターやサラダ油の代わりに、オリーブオイルを使うようにしましょう。

これを意識するだけで毎日簡単に摂取できます。

市販のドレッシングを使う代わりに、オリーブオイルと調味料で自作するというのも一つの方法ですね。

ナッツ

残念ながら、どのくらいナッツを摂取すればいいのかについては、はっきり書かれていませんでした。

そこで「ナッツの推奨摂取量」に関する研究を調べてみました。Harvard Health Publishingの記事、 "Why nutritionists are crazy about nuts" によると、1日に42g(1.5オンス)が推奨されると書かれていました。

私はいつも1日に20~30gくらい食べていますが、それでも十分なので、推奨量は意外に多いなぁと思ってしまいました。

この研究によると、「摂取量」と「効果」(死亡率、特定の病気の罹患率の低さ)は比例していて、「食べれば食べるほど良い」ということでした。ただし食べ過ぎはよくないので、50g以上は控えたほうがいいのかなと思います。

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1日に、おおよそ85~170gの魚(特に脂の多い魚)を摂取しましょう。(脂が多い魚には、オメガ3脂肪酸が多く含まれています。)魚には心筋梗塞、乳がんのリスクを下げる効果があります。さらに、複数の研究からも魚を食べる人ほど長生きできるとわかっています。

手軽に魚を食べられる方法としては、缶詰が便利ですね。そこで、サバ缶1個では何gくらいなのか、調べてみたところ、どのメーカーの物もおおよそ110g(固形量、液体分は除く)でした。塩分の取りすぎに気を付ける必要はありますが、1日にサバ缶を1缶くらい食べれば良いということになりますね。

ツナ缶は少し小さいので、固形量だと40~55gだそうです。ツナ缶1缶のみでは少し不足してしまいそうですね。

食べないほうが良いもの

赤い肉(牛肉や豚肉などの肉。鶏肉は含まない。)・加工肉

「加工肉には発がん性があり、赤い肉はおそらく発がん性がある」

恐ろしい事実のようですが、これはWHOが2015年に公式に発表したことです。

確かに最近スーパーには、「無塩せき」のソーセージやベーコンが並んでいたり、「加工肉の添加物は体によくなさそう」というのはわかりますが、加工されていない食肉にも、発がん性があるかもしれないというのは驚きですね。。

ちなみん赤い肉は、牛、豚、羊、馬など、見た目が赤い肉のことで、いわゆる脂肪が少ない「赤身」とは違います。脂が乗った霜降り肉も、赤い肉に含まれます。

8万人の日本人を対象にした研究でも、赤い肉、加工肉の摂取量が多くなるほど、大腸がんのリスクが高くなることが示されました。食事の西洋化に伴い大腸がんは増加傾向にあるというのも、肉の摂取量と関係しているのだろうと、容易に想像できます。(現在、大腸がんががん全体に占める割合は、男性では3位、女性では2位)

白い炭水化物

白い炭水化物とは、白米、パスタ、白いパン、うどんなどの、精製された炭水化物のことです。精製される過程で、食物繊維や、栄養成分が失われてしまっているので、栄養が少なく、糖質が多いのです。

日本人を対象にした研究では、1日あたりの白米摂取量が多いほど、糖尿病になるリスクが上がるというデータもありました。子供の頃から白米を主食に食べてきた日本人にはかなりショッキングな事実ですね。。。できるだけ、白米は減らして玄米を食べましょう。

「これから一切白米を食べない」というのは難しいですが、例えばレストランで「白米」と「玄米」から選べる、という時には、積極的に玄米を食べるようにすることから始めるのも良さそうですね。

バターなどの飽和脂肪酸

バターだけでなく、肉の脂身にも含まれる飽和脂肪酸ですが、血中のLDLコレステロール値を上げ、動脈硬化のリスクが高まります。できるだけ避けたい脂肪です。

飽和脂肪酸について、わかりやすく詳しく解説しているサイト(WACOL BODY BOOK)がありましたので、URLを貼っておきます。(https://www.bodybook.jp/slim/112115.html

全ての炭水化物がダイエットの敵ではない

炭水化物の摂取量が少ない人は、多い人に比べ体重が減っていることが研究によってもわかっています。しかし、重要なのは炭水化物の「量」ではなく「質」なのだそうです。白い炭水化物は体重増加につながりますが、茶色い炭水化物は食べても体重は増えないことが研究で示されました。例えばラーメンや白米を食べないほうがいいが、玄米や蕎麦はそこまで制限しなくて良いということです。
ちなみにこの研究では、フライドポテト、ポテトチップスが最も体重を増やし、ナッツやヨーグルトは体重減少に繋がるという結果でした。

本のおすすめ

今回紹介しましたのは、この本の最も重要な部分の、「食事に何を取り入れるべきか?」という点でした。しかし、この本が教えてくれるのはこれだけではありません。「あの食品が気になるけど、実際のところ健康にいいのかな?」といった疑問に答えてくれるコラムも載っていて、「なるほど、面白い!」と思うところがたくさんありました。

例えば、

  • オーガニック、グルテンフリーは健康に良いのか?
  • 結局牛乳、ヨーグルトは体にいいの?
  • 卵は1週間に何個まで?
  • カロリーゼロは健康への影響もゼロ?
  • 子供、妊婦、高齢者、糖尿病などの方にとっての「究極の食事」とは
  • 根拠のある「健康情報」の探し方(←これはかなり大事ですね)

などなど。

気になる方は、是非読んでみてください。

具体的な実践法がわかりやすく書かれている版も出ているようです。

わたしは読むのが遅いほうですが、2.3時間で読めてしまったくらい読みやすいです。

まとめ

思っていたより詳しくなってしまいましたが、食べるべきもの、食べないほうがいいもの、について紹介しました。

そのまま列挙するのはつまらないと思うので、編集者的まとめをしてみました。

  • ジュースで代用せず、野菜と果物をたくさん食べる
  • 白米はなるべく玄米に
  • 炒めるときはオリーブオイルを
  • お腹が空いたら素焼きナッツ
  • ステーキよりも魚料理を選んで

いかがでしたか? 「今後食事の時に何を気を付けたら良いのか、分かった! 茶色い炭水化物も、たまには食べよう。」という感じに思っていただけたら、嬉しいです。

わたしも最近は3食を家で食べるので、これからの食事に反映させていこうと思います。

今回はここまでとなりますが、【続編】として、この本のルールに本に沿ったレシピを思いついたら、記事に書きたいと思います。

  • この記事を書いた人

Chika

医学部5年生。将来は医療のしくみづくりに関わりたい。 興味:IT、医学教育、救急・総合診療、産婦人科、公衆衛生

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