5年生の夏休みに、日本全国の7病院ほどを見学しました。
有名病院から、レジナビで興味を持った病院など、さまざまですが、実際に見学に行くと、何を見て研修病院を決めるべきかが分かってきた気がします。
志望診療科を考慮すると...
選ぶポイントの1つとして、3年目以降進みたい診療科も考慮する必要があると思います。
私の場合、救急・総合診療科、産婦人科に興味を持っています。
初期研修の主目的はcommon diseaseを診れるようになることなので、救急・総合診療志望の場合は、どの病院に行っても困ることはないと思っています。
しかし、産婦人科に進む場合、研修先の病院に産婦人科がないのはややマイナスとして捉えてしまいます。(ルール上の不都合があるわけではありませんが。)
産婦人科がない病院、あっても規模が小さい病院って、研修病院の中に結構多いんですよね。
何が困るかというと、
・産婦人科系の救急症例が来ない→研修医が主体となる救急当直で経験できない
・産婦人科と他科の連携を経験できない
ことだと思います。
そこで、産婦人科の体制がしっかりしている病院を探すには、どうしたら良いのか。
「周産期母子医療センター」
調べてみると「(総合/地域)周産期母子医療センター」という用語が出てきました。
詳しい定義は省いてざっくり言うと、周産期の対応リソースが豊富な医療機関、という意味です。
3次医療圏に1箇所置かれている総合周産期母子医療センターと、それを支える地域周産期母子医療センターの2種類があります。
「総合」の方は、産科、小児科(MFICU6床以上、NICU9床以上)、麻酔科その他の関係診療科目を有しており、母体、新生児においてきわめて高度な医療を提供する医療機関とされています。
全国に「総合」は110箇所、「地域」は298箇所あります。(執筆時点)
厚労省のサイトに載っていますので、詳細はこちらを御覧ください。
リンク
周産期医療体制:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/07/dl/s0708-16f_0004.pdf
総合周産期母子医療センター:https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/taisei_0004.pdf
周産期母子医療センター一覧:https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001123090.pdf
規模の大きい病院が多い
当たり前ではありますが、(総合/地域)周産期医療センターの多くは規模の大きい病院で、比較的アクセスの良い場所にある傾向にあります。
産婦人科だけでなく、他の診療科も揃っていること多いため、研修先としては人気が集まる病院ともいえるでしょう。
他の科も考えているけれど、産婦人科も候補に入れている、という方はこのような切り口で病院探しをしてみてはいかがでしょうか。
気をつけるべき点
一方で、検討している研修病院が周産期母子医療センターかどうか以外に、もっと見るべきポイントがあります。
ポイントは、産婦人科ローテの体制です。
産婦人科の規模が大きくても、体制によってはあまり適さない研修病院もあります。
例えば、救急対応や病棟管理に関して、まず研修医が呼ばれて初期対応(1stタッチ)をするのか、研修医は専攻医や上級医の指示を受けてその通りに業務をこなすのかなど、研修医にどの程度任されているかという観点です。
分娩など、産婦人科は時間的な変化が大きい病態を扱うため、知識だけでなく症例を多く経験することが重要です。上級医が対応するのを後ろで見ているか、自分が責任を持って一次対応するのかは、無視できない差だと思います。
さらに規模の大きい研修病院では、専攻医も多く在籍し、研修医に手技のチャンスが回ってこないということもあります。
このような実態を把握するには、実際に見学に行ってみることです。
ローテ中の研修医の先生に、病棟管理・当直はどのような体制か(何人体制、誰が1stタッチするか)、救急外来での産科救急症例も研修医が対応するのか、手技はどの程度経験できるかなど、詳しく聞いてみると良いと思います。
そうでなくても産婦人科には進める
ここまで、産婦人科に進みたい人が見るべき、初期研修病院のポイントを紹介しましたが、ぶっちゃけそれが一般的な最適に近いだけであって、どの病院で初期研修をしても産婦人科の後期研修に進むことはできます。
産婦人科は内科や外科の専攻医と違い、後期研修以降はその領域しか診なくなります。産婦人科自体の領域が広く、周産期、婦人科(良性・悪性)、不妊治療などサブスペシャリティを決めて専門性を高めるようなキャリアが主流となっているためです。
このため、あえて初期研修ではcommon diseaseをとことん診て、患者さんの病態だけでなく生活背景まで関わりたいから、primary careが学べる病院で研修する、という考え方もできます。
この場合、地域に根ざした総合診療に力をいれている病院(産婦人科はないことも多い)となりますが、ご自身に納得感があるなら、それも良い選択肢だと思います。
見学に行ってみると分かると思いますが、自分にとって居心地の良い病院、何か違うなと感じる病院、あると思います。
研修は2年間ありますから、自分に合った、のびのびと研修ができそうな病院、という観点も大切ですね。
私の病院探しも続きます...笑
それでは、また!