健康のために、ナッツを食べると良い、というのが今回のお話です。
結論だけでも十分ですが、詳細が気になる方はぜひ最後まで読んで下さい。
この記事では、20年以上にも渡って調べたわかった、ナッツの摂取量と死亡率の関係の論文をご紹介します。
背景
ナッツは栄養リッチ
ナッツには不飽和脂肪酸、食物繊維、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質などの、健康にメリットのある生理活性物質が豊富に含まれています。
病気のリスクを下げてくれる
ナッツの摂取量が多い人ほど、心血管疾患や糖尿病などの慢性疾患のリスクが低くなるということはこれまでの研究で分かっていた。
しかしナッツの摂取量と死亡率の相関は明らかになっていない。➝じゃあ調査しよう!
方法
調べる数値
ナッツの摂取量と全体死亡率、原因別死亡率との関連を調べる。
研究対象
- 76464人の女性 (1980年〜2010年)
- 42498人の男性(1986年〜2010年)
アメリカ全土の医療従事者から参加者を集めて行われました。
がん、心疾患、脳卒中などの既往がある人は対象から除く。
研究デザインはざっとこんな感じ↓
結果
ナッツを多く食べる人ほど、そうでない人と比べて、以下の特徴が見られました。
研究結果まとめ
- 痩せている
- 喫煙者が少ない
- よく運動をしている
- ビタミンサプリをよく飲む
- 果物と野菜を沢山食べる
- アルコール摂取量が多い
調整してもなお、男女ともに、ナッツを食べる人ほど死亡リスクは低かったのです。
さらに、ナッツを食べる人の中でも、より多く摂取していた人のほうが死亡リスクが低い結果となりました。
ナッツをまったく食べない人の死亡リスクを1とした場合、
- 週に1回未満食べる人: 0.93
- 週に1回食べる人: 0.89
- 週に2~4回食べる人:0.87
- 週に5.6回食べる人: 0.85
- 週に7回以上食べる人: 0.80
がん、心疾患、呼吸器疾患による死亡率も、ナッツを食べる人の方が低くなりました。
結論
潜在的なconfounder(交絡因子*)を調整したとしても、ナッツの摂取頻度と死亡率(全体死亡率、死因別死因率)は反比例していた。
ココがポイント
ナッツを週に7回以上食べる人は、全く食べない人に比べ、20%死亡率が低い!
➝良い子のみんな、ナッツ食べて長生きしましょうね!(週7回食べる人、そんなにいる?ってツッコミたくなりますが...)
*交絡因子とは、注目する要因に付随する別の要因で、結果に影響をもたらすもの。例えば、ナッツを摂取する人は、一緒にはちみつを摂取する傾向があるとします。仮にはちみつに長生きの効果があるとすれば、ナッツを沢山食べた人は、ナッツを食べたから長生きになるのではなく、実際にははちみつのおかげだった、みたいな話です。この場合、はちみつが交絡因子です。
考察
どんなに細心の注意を払ってデータを解釈しても、得られた結果が正しいとは言えません。ということで、議論の余地を示すのが論文のお約束(らしい)。
考察
・把握していない交絡因子があるかもしれない。
・ナッツを食べないから慢性疾患になりやすいのではなく、慢性疾患になったことでナッツを食べなくなった可能性もありうる(慢性疾患との因果関係が不明)
・そもそも被験者がナッツ摂取量を正確に記録、報告していない可能性がある
・どのように加工されたナッツか、という点は考慮していない(素焼き、塩味、生、スパイス味...など)
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参考論文
"Association of Nut Consumption with Total and Cause-Specific Mortality"
(N Engl J Med 2013;369:2001-11.)
まとめ
いかがだったでしょうか。少なくともナッツが体にいいことは分かっていただけましたら幸いです。
普通のスーパーにも、小分けパックの素焼きナッツが売っていますので、手軽に食生活に取り入れられるところがいいですね。
個人的には、ヘーゼルナッツの苦味が苦手なので、クルミ、アーモンド、ピスタチオなどいろいろな種類のナッツが入っている物を選んでいます。みなさんもお気に入りのナッツを見つけて、ぜひ健康でいてください!笑
ちなみに、この論文を解読するのに1週間くらいかかりました。どんだけかかったねん!って感じなのですが、また興味深い論文を見つけたらシェアしたいと思います。